アイラモルトというと最初に思いつくのは、やはりスモーキーで独特なヨード臭と磯の香り。
そんなアイラモルトにあって、煙さの最高峰とされているのがアードベッグ。
しかし、強烈なスモークの後には、爽やかな柑橘系の甘みを味わえるウイスキーです。
アイラモルトに少し慣れてきた方は、是非チャレンジしてみて下さい。
アードベッグの特徴を簡単に・・・
- フェノール値55ppmを誇るアイラモルト最高峰のピーティッドウイスキー
- ノンチルフィルタードでのボトリング
- アイラモルト第3位の販売本数で世界中にファンがいる!
テイスティングメモ
アードベッグ TEN
ストレートで飲んでみる
やはり、第一印象は強烈なスモーク!
しかし、その後爽やかな柑橘系の香りや味わいがあり、じわっとした甘みが広がる。
磯の香りや海の潮っぽさはずっと感じることができる。
少し加水してみる
スモーク感やワイルド感はそのままに、甘みを強く感じる。柑橘系やバニラの甘さも強く、おススメ!
ハイボールにしてみる
スモーク感は少し薄くなり、甘みも少なくなるが爽やかな香りが抜けていき、素直においしいと感じる一杯。
アイラ初心者がアイラをおいしく感じられる飲み方で、初心者におススメ!
THE アイラモルトなウイスキー
アードベッグの特徴と言えば、強烈なスモーク感を挙げる方も多いのではないでしょうか。
フェノール値はアイラモルトで最も高い部類であり55ppmを誇ります。
しかし、飲みにくいのかというと、そんなことは無く柑橘系のフルーティさがあり、爽やかな印象を感じることができます。
その証拠にアードベッグファンは全世界に存在し、年間生産能力240万リットルの全てを自社のシングルモルトとしてボトリングされ販売本数は180万本を誇ります。
これは、年間380万本を誇るラフロイグやアイラの女王ボウモアに次いでアイラモルト第3位。
しかし、1980年代から1990年代のブレンデッドウイスキー全盛期には個性が強烈すぎるアードベッグの原酒は売れず不遇の時代を過ごし、1996年には蒸留所閉鎖も経験しています。
2000年代に入りシングルモルトの個性が受け入れられると、アードベッグの抜きん出た個性に全世界のファンが虜になったのです。
その味わいとスモーキーさは正にアイラモルト!
ノンチルフィルタードでボトリングされたアードベッグはワイルド感もあり、それでいて繊細な甘みがある、THEアイラモルトなウイスキーです。
蒸留所について
ロケーション
蒸留所はアイラ島の南、ポートエレンの東3.5マイル(約6㎞)のところにあります。
ポートエレンの港からラフロイグ→ラガヴーリン→アードベッグとなっており、一番東側です。
この3蒸留所は、地名からキルダルトン3兄弟と呼ばれており、その歴史は3兄弟で最も古く1790年代にはウイスキー造りが行われていたようです。
もちろん、その頃は密造酒ですが。
その後、1815年正式に蒸留所として誕生します。
アードベッグはゲール語で「小さな岬」。
蒸留所は他のアイラモルトに多く見られる様に、海岸沿いに建てられています。
特徴
コロナパンデミックによって遅れていた拡張工事も2021年4月完成し、年間生産能力は倍の240万リットルを達成。
10年後、どの様なラインナップが発売されるのか楽しみですね!
蒸留所の仕込み水は、ラインナップにもある「ウーガダール」湖の水。
ウーガダールとはゲール語で「暗くて神秘的な場所」という意味。この水にポートエレンから調達したフェノール値55ppmのヘビリーピーテッドな麦芽を投下します。
この仕込み水も、もちろんアードベッグの特徴ある風味に影響を与えています。
アードベッグでは1975年までは自社で精麦を行っていましたが精麦棟が閉鎖されました。
その精麦棟には換気装置がなく、麦芽に付くピート香が他の蒸留所に比べて極端に強かったのです。
ブレンデッドウイスキー全盛期時代には、その強烈なピート香がブレンダーには不評で、ブレンデッド向けに売れなかったことが、経営に深刻なダメージをもたらしたのかもしれません。
今となっては、そのオリジナルのピートを味わってみたいものですね!
糖化を行った後の発酵はオレゴンパイン材の木製ウォッシュバックを使用。ここで、酸味のあるフルーティ感を得ることができます。
ウォッシュバックは全部で12基。65時間以上の時間をかけて糖化を行います。
現在、ランタンヘッド型の蒸留器4基が稼働中で、初溜器・再溜器が2基ずつとなっています。
再溜器のラインアームに取り付けられた精溜器によって、洗練されたオイリーな風味やフルーティさが得られるとされており、アードベッグの特徴の一つになっています。
スタンダードボトルであるアードベッグ10年の熟成樽は、アメリカンオークのバーボン樽。
ファーストフィル若しくはセカンドフィルを使用します。
その他にもウーガダールはヨーロピアンオークのオロロソ・シェリー樽を使用して熟成させます。
最後のボトリングですが、アードベッグの大きな特徴である「ノンチルフィルタード」で行われます。
低温濾過を行わない製法です。原酒に溶け込んでいる様々な成分を丸ごと楽しんでしまおう!ということですね。
ですので、洗練された味というよりは、どことなくワイルドな味わいになっているのではないでしょうか。
ツアー
アードベッグのビジターセンターは、レストランやコテージも準備されており、とても充実しています。
ツアーは、£20(3,700円程度)から用意されており、ファンにはたまらない時間となることでしょう!
ツアーは春から秋は充実していますが、11月以降の冬の時期は基本コースのみとなってしまうので、秋までに行かれることをお勧めします。
ツアーはこちらから。
歴史
1815年 | ジョン・マクドゥーガルがライセンスを取得し正式に蒸留所として設立 |
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1885年 | 年間生産量120万㍑となりアイラ島最大の蒸留所 |
1959年 | アードベッグ・ディスティラリー社となる |
1977年 | ハイラム・ウォーカーがオーナーとなる |
1982年 | スコッチウイスキーの原酒余剰により、1989年までの7年間操業停止 |
1997年 | グレンモーレンジィ社が700万£で買収し創業再開。 |
2000年 | アードベッグ10年発売 |
2004年 | モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン(LVMH)社がオーナーとなる |
2021年 | 蒸留棟の拡張工事が完了し年間生産能力が240万リットルとなる |
まとめ
アイラモルト最高峰のピーティッドウイスキー。
初心者にはハードルが高いのでは?と思ってしまいますが、アイラモルトが好きな方には是非おススメしたいウイスキーです。
スモーキーだけでなく、ノンチルフィルタードでボトリングされたウイスキーを味わえるのも推しポイントですね!
ボトルはちょっと・・・という方は、バーで一杯チャレンジしてみて下さい!
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