蒸留所設立1898年というと110年以上前。
老舗の伝統ある蒸留所のように思われますが、設立からわずか2年後の1900年に閉鎖を余儀なくされ、1965年に復活するまで65年の歳月を要しています。
そこから徐々に立て直し、シングルモルトウイスキーを発売したのは1994年のこと。
ベンリアック蒸留所はどちらかというと新しい部類に入る蒸留所です。
しかし、そこから一気に攻めの姿勢でスペイサイドの下流域を代表する蒸留所へ成長しました。
そんなベンリアックの特徴を簡単に・・・
- 多彩な原酒を保有(ノンピート・ヘビーピート・トリプル蒸留)
- 種類豊富な熟成樽(バーボン・ラム・赤ワイン・シェリー・・・)
- ノンピート、ピートともに華やかでフルーティーな味わい
- 毎年実施のフロアモルティング
テイスティングメモ
ベンリアック クォーターカスク(トラベルリテール)
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テイスティングメモ
2022.9
5,148円 M’s Tasting Room
ストレートで飲んでみる
強めのフローラルな香り
フルーティーで華やかな味わいが続く、長い余韻
バーボン樽特有のバニラの香り
1日の最後、疲れた体を包んでくれるウイスキー
飲みすぎに注意!
トワイスアップで飲んでみる
華やかな香りとバニラの甘みがガツンと広がる
アルコールの刺激が緩和されものすごく飲みやすい!
しかし、香りと甘みは薄くなるどころか、大きく広がる
甘みと香りを堪能したい方は是非トワイスアップで!
ハイボールで飲んでみる
優しいフローラルな香りは健在
フルーツとバニラの味わいも残っていて甘みも心地よい
食後のリラックスタイムにおススメ
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遅咲きの蒸留所
![](https://malt-journey.com/wp-content/uploads/2022/10/our-process-bg-1024x402.jpg)
1898年設立の蒸留所がシングルモルトウイスキーを発売したのが1994年。
設立直後の不運もあり、長い間不遇の時代を過ごします。
転機が訪れたのは2004年、ベンリアック・ディスティラリー・カンパニーが設立されます。
ここでようやく経営が安定してきます。
そして、2008年にグレンドロナック蒸留所を買収し、2013年にはグレングラッサ蒸留所を立て続けに買収しベンリアックファミリーを形成します。
この頃から、ベンリアックはノンピート・ヘビーピート・トリプル蒸留の原酒と種類豊富な熟成樽を使って、多彩な原酒を生産していきます。
この多彩な原酒を組み合わせて、ベンリアック特有の風味豊かな味わいのウイスキーをリリースしています。
それを実現しているのが、ウイスキーマガジンで「ウイスキーの殿堂」を獲得しているマスターブレンダーのレイチェル・バリー氏。
レイチェル・バリー氏は、ウイスキーマガジンの記事でこのように答えています。
「やはりいちばん大切なのは、まずスペイサイドの風土でつくられるベンリアックのルーツ。そして蒸溜所の個性的なスピリッツを土台とした物語です。初めて出会った人と徐々に深く知り合っていくように、丁寧でわかりやすい商品レンジを作らなければいけないと思っていました」
ベンリアックの新ランナップ【後半/全2回】 | WHISKY Magazine Japan
ベンリアックの貯蔵庫で出番を待っている多彩な原酒は、コンセプトに合致するよう最適な組み合わせでブレンドされます。
無数にある組み合わせから最適化されたウイスキー。
ウイスキーの奥の深さを思い知らされますね。
蒸留所について
ロケーション
ベンリアック蒸留所は、スペイサイドに属していますがスペイ川からは少し離れています。
エルギンという街の中心部から約4~5キロほど南に行った麦畑に囲まれたリアック農場の敷地内にあります。
ここには、ミネラル豊富な地下からの湧き水があり仕込み水に利用しています。
1900年からの閉鎖時代にモルトを供給していたロングモーン蒸留所は目と鼻の先。
当時は、フロアモルティングされたモルトを専用の汽車でロングモーン蒸留所へと運んでいたそうです。
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今は見られないのが残念ですね!
エルギンの街の中心部。
きれいな街でエルギン大聖堂などの史跡もあり、観光も楽しめる街ですね。
特徴
ベンリアックの最大の特徴は豊富な原酒にあります。
原酒の元となるのはノンピートとフェノール値は55ppmのヘビーピートのスピリッツです。
ピートタイプのウイスキーは1975年から生産しておりスペイサイド地区では最も古い歴史があります。
スチルは4基あり、年間製造能力はおよそ300万リットル。
どちらかというと大きな蒸留所ですね。
熟成樽はオーク・シェリーをはじめとして、ヴァージンオーク・ラム酒・マディラ・ポート・赤ワイン・マルサラなど多岐にわたり、それぞれ各国より取り寄せています。
バラエティー豊かな樽で熟成されたウイスキーは、マスターブレンダーであるレイチェル・バリーによって多彩な風味への変化します。
ツアー
オリジナルツアーは所要時間75分で3種類のウイスキーを試飲でき、料金は£20(約3,000円)です。
少し金額は高くなりますが、おススメはワイン樽熟成の限定ウイスキー5種類を試飲できるコースです。
熟成庫での見学もあり所要時間も2.5時間、料金は£65(約10,000円)ですが、貴重な体験になるでしょう。
ツアーはこちらから。
もちろん、ツアーの後はショップに立ち寄って蒸留所限定ボトルやお土産を買うことができます。
歴史
1898年 | ジョン・ダフによって設立 |
1900年 | パディソン・クラッシュにより閉鎖 |
閉鎖のあいだ、隣接するロングモーン蒸留所へモルトを提供するためモルティングを継続 | |
1965年 | グレンリベット社によって再開 |
1972年 | ピーティッドウイスキーの蒸留を再開 |
1985年 | スチルを4つに増設 |
1994年 | 蒸留所初のシングルモルトウイスキーを発売 |
1998年 | トリプル蒸留開始 |
2004年 | ベンリアック・ディスティラリー・カンパニー設立 |
2012年 | フロアモルティング再開 |
一緒に読んだ本
タイトル | 失敗の科学 |
著者 | マシュー・サイド |
出版社 | ディスカヴァー・トゥエンティワン |
発売日 | 2016年12月23日 |
読書メモ
自分の失敗だけでなく他人の失敗からも学ぼう。
なぜなら自分だけの経験では得られない量と質を得られるから。
認知的不協和の影響で最も失敗から学ぶことができていないのはトップの人間。
プロジェクトの6段階とは
1.期待 2.幻滅 3.パニック 4.犯人捜し 5.無実の人を処罰 6.無関係な人を報奨
何より重要なのは、失敗に対する考え方に革命を起こすこと。
失敗することは何も恥ずべくことではない。
失敗を経験しそれを修正する(トライアンドエラー)ことが重要。
まずは自分の失敗を探し、埋もれさせないこと。
見つけたら即座にフィードバックを行う。
自分が直接行ったこと以外に、自分が関係した仕事についても同様に行う。
まとめ
長い歴史のなかで、大きな挫折を味わったベンリアック蒸留所ですが、みごとに復活を果たしました。
そして、今はすばらしく美味しいウイスキーをリリースしています。
フローラルでフルーティーなウイスキーが多いスペイサイド地区ですが、その中でも独自のコンセプトを持ち差別化されたウイスキーです。
ひとつの蒸留所で多くの風味を楽しめる、そんな蒸留所ですのでぜひ「タテ飲み」でそれぞれの味わいを確かめたいですね!
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