北緯58.9847度、これがスコットランド最北にあるハイランドパーク蒸留所の位置です。
ちなみに、日本の最北端の市である稚内市が北緯45度です。どれだけ北に位置しているか想像できますか?
そんなに北にあると寒くてウイスキー造りどころではないのでは?と思ってしまいますよね??
ところが、大西洋の温暖な海流と偏西風の影響で、冬の平均気温は約2℃で最低気温の平均でも氷点下にはなりません。
ちなみに、夏の平均気温も約16℃とどちらかと言えば寒い夏ですね。
この1年を通じて大きな温度変化がない気候が、ウイスキーの熟成に大きく影響しています。
スコットランド最北の地で作られるウイスキー、ハイランドパークの特徴を簡単に・・・
- かっこいいボトルデザイン
- オークニー諸島独特のピートを使用
- スコットランド最北の蒸留所
- 豊富なラインナップで楽しめる
- お寿司にあうウイスキー
テイスティングメモ
ハイランドパーク12年 バイキングオナー
テイスティングメモ
2022年8月1日 ECショップ 4,839円
まず、このボトルデザインがかっこいい!
化粧箱も目を引きます。
ストレートで飲んでみる
心地の良いスモーク・ピート感
リンゴ・オレンジのような香りと甘み
ハチミツの甘み
トワイスアップで飲んでみる
ピート感はそのままに、香りが広がる
ハイボールで飲んでみる
さわやかなピート感
鼻に抜けるスモークが心地よい
香りもそこまで消えないので、食中酒としてもおすすめ。
公式では、お寿司にも合うとなっていますが、お刺身ともいい感じでした!
最北の蒸留所
北緯58.9847度がスコットランド最北の蒸留所、ハイランドパーク蒸留所の位置です。
北緯60度というと、アラスカのアンカレッジやスウェーデンのストックホルムなどの都市と同じくらいの高緯度です。
このあたりの都市で見られるのがオーロラですが、蒸留所があるオークニー諸島のメインランド島でも冬の時期に見ることができます。
メインランド島では夏至の日の出がAM3時、日の入りがPM9時と日中が非常に長く、日の入り後もうっすら空が明るく「日の沈まない夏」として観光客に人気となっています。
反対に冬は非常に日が短く、日の出はAM9時、日の入りはPM3時と6時間程度しかありません。
しかしメインランド島は、高緯度にありながらも冬の平均気温が約2℃と氷点下になりません。
それは大西洋のメキシコ湾流という暖かい海流と偏西風による影響を受けているためです。
また、夏の平均気温も約16℃程度であり夏と冬の気温差が14℃しかありません。
この温度差のおかげでエンジェルズシェアが年間0.5%~1%に抑えられるとのこと。
エンジェルズシェアとは、ウイスキーが樽の中で熟成している間に蒸散し失われてしまったものです。
エンジェルズシェアは通常年間2%~4%と言われていますので、それを考えるとウイスキーがゆっくりと熟成しているのがわかりますね!
ちなみにこのエンジェルズシェア、昔のウイスキー職人が名付けたそうですがどういう意味かご存じですか?
直訳すると「天使の取り分、分け前」となりますが、ウイスキーの熟成が進んでおいしくなるのは天使が育ててくれている。
おいしくなった分だけ、天使が分け前としてもらっていっていると考えたんですね!
当時の人々も蒸散の作用は知っていたと思いますが、ウイスキーが減っていくのを防ぐのではなく、減った分だけおいしくなると考えた当時のウイスキー職人の方々には感服すると同時に、なんてロマンティストなんだろうと思うのは私だけでしょうか?
蒸留所について
ロケーション
蒸留所のあるオークニー諸島は小さな島々ですが、島中に遺跡が点在しています。
比較的温暖な気候が影響しているのか、古くから人々が往来しており最も古い痕跡は紀元前6800年とのこと。
人々が定住を始めたとされるのが紀元前3100年。新石器時代のことです。
歴史、よくわからないんだけどすごい昔だよね!!
日本だと縄文時代にあたります。
遺跡のひとつである、「リング・オブ・ブロッガー」はこの時代の遺跡ですね。
蒸留所があるのはオークニー諸島の最大の島、メインランド島の中心部カークウォール。
人口は8,500人ほどの街ですが、本土とのフェリーが到着する港町で大学もあったりと栄えた街ですね。
そんな街から、少し高台にあがったところに蒸留所はあります。
蒸留所のある高台からは北側のカークウォールの港、南側のスキャパビーチもよく見えます。
密造酒時代には、徴税人の船が本土から近づいてくるのをいち早くキャッチし、うまく隠していたとのこと。
創業者であるマグナス・ユンソンは聖職者でもあったことから、ウイスキーの隠し場所はなんと教会の壁や床下。
覚悟を持って密造酒(ウイスキー)造りをやってますね!!
特徴
ハイランドパークの特徴は5つのキーストーンに表されています。
1つめが、フロアモルティングです。
フロアモルティングは創業以来行われていますが、作業には1週間かかり毎日8時間の手作業が必要となる重労働です。
しかし、ピートの香りを吸収するには必要な工程で、ハイランドパーク特有のスモーキー感はこの作業から生まれています。
2つめが、アロマティックピートです。
ハイランドパークのピートは島内で採取したピートを使用しています。
一般的なピートは樹木や海藻が堆積し作られるのに対し、絶え間なく強風が吹き樹木がほとんど生えないオークニー諸島では何を原料にピートができるのでしょうか?
オークニー諸島では、ヘザーというツツジ科の植物が堆積することによって作られており、大変香り高く芳香なスモークを得られるのが特徴です。
ピートの層は最大4メートル、もっとも古いもので9,000年以上前というから驚きです。
このピートを使ったウイスキーは、世界でハイランドパークだけです!
3つめが、シェリーカスクです。
ヨーロピアンオークとアメリカンオークをスペインにて2年間かけシェリー酒を熟成させたものを使用しています。
ヨーロピアンオークはレーズンやダークチョコレートの香りを、アメリカンオークはバニラや柑橘類の香りをウイスキーに授けてくれます。
4つめが、冷涼な気候での熟成です。
夏と冬の寒暖差が少なく冷涼で安定した気温に加えて、年間を通じて常に海風が吹いている環境で熟成されることによって、独特な風味が形成されます。
最後の5つめがカスクハーモナイゼーションです。
熟成されたウイスキーは、船でグラスゴーのマスターウイスキーメーカーであるゴードン・モーションへ送られ最大150本の樽からバッティングされます。
このバッティング作業にこだわりを持っているんですね!
バッティングって??
バッティングとは、複数の樽からウイスキーを抽出し、バランスの良い最高の状態のウイスキーに調合する作業です。
簡単に言うと混ぜ合わせることです。
基本的にどのウイスキーでもバッティングを行って味わいを一定にしています。
ちなみに、シングルカスクは厳選された1つの樽からボトリングされたもの、ダブルカスクは2つの樽を使ってボトリングされています。
もし、機会があればぜひ飲んでみて下さい。
同じ蒸留所のスタンダードボトルとの違いを感じられると思いますよ!
ツアー
ハイランドパークのツアーは種類が多く、スタンダードなツアーは£30(4,500円程度)で1時間半ほどかけて一通りの見学会を行い、12年と18年のボトルをテイスティングできます。
ビンテージウイスキーのテイスティングをしてみたいという方は、£800(130,000円程度)が必要ですが30年~50年のウイスキーをVIPルームの暖炉のを見ながら堪能できます。
この暖炉のあるゲストルームは最高ですね!
おすすめは、見学会のあとこの暖炉の前で4種類のビンテージウイスキーを堪能できる£325(50,000円程度)のツアーです。
おいしいウイスキーを飲みながらこのソファー座って暖炉の火を眺めていたら寝落ちしてしまいそうですが・・・
ツアーはこちらから。
歴史
1700年代 | マグナス・ユンソンがこの地でウイスキー造りを始める |
1798年 | デービッド・ロバートソンが正式な蒸留所として設立 |
1869年 | スチュワート&マッケイ社が経営権を取得 |
1878年 | ジェームス・グラントが共同経営者となる |
1895年 | ジェームス・グラントが経営権を取得 |
1898年 | ポットスチルを4基に増設 |
1937年 | ハイランド・ディスティラリーズ社が経営権を取得 |
1979年 | 初のシングルモルトウイスキー「ハイランドパーク12年」をリリース |
1999年 | エドリントン社とウィリアム・グラント社の共同出資で経営権を取得 |
一緒に読んだ本
タイトル | 超一流の雑談力 |
著者 | 安田 正 |
出版社 | 文響社 |
発売日 | 2015年5月20日 |
読書メモ
会話の序盤で取り入れたいテクニックは、適度な「自己開示」をすること。
「さしすせそ」のあいづち→「さすがですね」「知らなかったです」「素敵ですね」「センスがいいですね」「それはすごいですね」を自然に。
雑談力を伸ばすためには雑談ノートをつける。
普段から雑談力をつけるトレーニングをすること。
普段の会話の中で少し意識しながら話してみる。
もっとも意識するのは、相手に喜んでもらうこと。
まとめ
ハイランドパーク蒸留所はスコットランド最北の蒸留所として有名ですが、こだわりを持ち独特の環境を活かしたウイスキーも定評があります。
この島でしか採取できない独特のアロマを放つピートや島特有の気候を活かしたウイスキーは唯一のものです。
飲まれる際はボトルを目の前において、秀逸なボトルをながめ長い歴史に思いを馳せながら楽しみましょう!
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