マッカランはスペイサイド中流域にあるザ・マッカラン蒸留所で作られるウイスキーで、スペイサイドモルトの特徴であるフローラルな香りと濃厚な甘みに加え、エレガントさが特徴のウイスキーです。
マッカランの特徴を簡単に・・・
- フローラルな香りと濃厚な甘みにエレガントをプラス
- こだわりのシェリー樽とバーボン樽
- シングルモルトのロールスロイス
- 価格高騰により適正価格での入手が困難
- 2018年に£1億4千万(約220億円)の設備投資を行い蒸留所をリニューアル
マッカランは、スコッチシングルモルトウイスキーを代表する銘柄ですが、近年のウイスキーブームの影響もあり価格が高騰しているウイスキーの一つです。
適正価格での購入が困難になってきていますので、初心者が購入する際はしっかり情報収集を行い購入しましょう!
シングルモルトのロールスロイス、1度は飲んでみたいですよね。
ボトルでの購入はシェリーオーク・ダブルカスク・トリプルカスクの12年までにして、オールドボトルはBARで探すのはいかがでしょうか。
蒸留所のツアーに参加するのもアリだよね!
でも時間とお金が・・・
テイスティングメモ
トリプルカスクマチュアード 12年
テイスティングメモ
2022年5月 贈答品
ストレートで飲んでみる
上品で濃厚な味わいとフローラルな香り
じんわりと濃厚な甘みが広がる
若干のスパイシー感
長く続く余韻と幸福感
トワイスアップで飲んでみる
カドのないすっきりとした味わい
香りと甘みが口の中いっぱいに広がる
ストレートでももちろん楽しめますが、トワイスアップがおススメ。
3種類のカスクの複雑な味わいがすっきりまとまった感じで楽しめます。
公式では、アイスボールやニューヨークサワーが紹介されています。
機会があれば、是非お試しください。
ロックやハイボールも試したかったのですが、贅沢かな??という思いもあり
躊躇している間に気が付くと無くなっていました。
次回は、ロックやハイボールもレビューしたいと思います。
価格高騰で手が出せない⁉
英国の老舗百貨店である「ハロッズ」が発行するウイスキー読本で「シングルモルトのロールスロイス」と称されるマッカラン。
そのすばらしい味わいと香り、約200年ものあいだ絶え間なく注ぎ込んだ愛情や情熱により、世界中のウイスキーファンを虜にしてきました。
日本でも、スコッチシングルモルトと言えばマッカランの名前が1番に出るほど有名で人気のあるブランドです。
しかし近年のウイスキーブームや原酒不足・原材料の高騰など様々な要因によりボトル価格は上昇し続けています。
また、価格上昇に輪をかけるように「マッカラン ダブルカスク12年」が2022年現在、日本で休売になってしまいました。
このような状況の中、2018年のオークションでマッカラン60年が当時のレートで約1億2,500万円で落札され、2021年には1991年物のマッカラン樽のNFTが230万ドル(当時のレートで約2億6,000万円)で落札されました。
私たち一般消費者は、さすがに関係ないかもしれませんが、ボトルを購入するときはプレミア価格に気を付けましょう!
マッカラン トリプルカスク12年であれば、7,000円台~8,000円台で購入できると思います。(2022年8月現在)
シェリーオーク12年やダブルカスク12年でも15,000円程度かと思われます。
蒸留所について
ロケーション
マッカラン蒸留所は、スペイ川の中流域アベラワーの街の北に位置しています。
スペイ川沿いの高台にある蒸留所は、ラベルにも描かれている「イースター・エルキー・ハウス」を中心に150ヘクタールの広大な土地で大麦の栽培からウイスキー造りをスタートします。
周辺の土地には6万本以上の樹木と70種以上の野生生物が生息しているとのことで、自然豊かなロケーションですね!
ちなみに「イースター・エルキー・ハウス」とは、マッカランのボトルラベルの上部に描かれているマッカランを象徴する建物です。
1700年に建設されたとの記録が残っていますが、1500年代中頃には何らかの建物があったようです。
その後1820年、当時の所有者だったシーフィールド伯爵から創業者であるアレクサンダー・リードが建物と農場を借ります。
マッカランの歴史は1824年にスタートしますが、当時はこのイースター・エルキー・ハウスの建物内でウイスキーの蒸留を行っていたとのこと。
その後、蒸留所の規模が拡大していくと建物は使われなくなり建物自体も老朽化が進んでいきました。
1961年にマッカランが建物を含む農場すべてを購入したときには、荒廃により取り壊し寸前の状態でした。
しかし「この建物には残すべき価値がある」と判断したマッカランは、資金を投入し修復後レセプションセンターとして復活させます。
イースター・エルキー・ハウスは今でも蒸留所で働く人々にとって、スピリチュアルな存在としてその発展を支えています。
創業当時の思いを忘れずその精神を引き継いでいくという、伝統と文化を大切にする蒸留所のスピリッツがわかるエピソードですね!
特徴
熟成樽
マッカランの最大の特徴は、熟成樽へのこだわりでしょう。
ウイスキーの味わいの80%、色味の100%は樽に由来しているとのこと。
熟成樽は、アメリカンオークとヨーロピアンオークを栽培するところから始まります。
それぞれの木の特性を活かして樽を作りますが、その特徴は・・・
種類 | 特徴 |
---|---|
アメリカンオーク | 木の密度が高くシェリー樽やバーボン樽として使いやすい |
ヨーロピアンオーク | 多孔質のためタンニンが多く含まれている 長時間の熟成が必要な反面、ウイスキーに色合いと香りを醸す |
伐採した樹木は最低1年間の空気乾燥をさせたのち製材し、スペインへ運ばれます。
そこでさらに1年間寝かされた後、樽へ加工されますが、最後に行う工程が「火入れ」です。
シェリー酒やワインはあぶり加工を施しますが、バーボン樽には焦がし加工を施します。
あぶり加工は低温で長時間表面をあぶることによって、カラメル化を生じさせることで甘みやトースト香をまとわせ、独特の色合いに仕上げる効果を持っています。
一方焦がし加工は、短時間で表面を炭化させます。
炭化させることで、フィルターの役割となりウイスキーから不要な雑味を取り除く効果があります。
活性炭などと同じような効果ですね。
また、焦がし加工はバーボン樽だけに施す加工で、トフィーやバニラ香をまとわせることができます。
シェリー酒の熟成が終わると、スペインからマッカラン蒸留所へ運ばれ、伐採から約6年がたった頃ようやくウイスキーが注がれマッカランの熟成が始まります。
ポットスチル
マッカランのポットスチルはスペイサイドで最も小さくハンドメイドで作られおり、こだわりが表れている部分でしょう。
極小のポットスチル(容量3,900ℓ)は、一般的な背の高いスチルに比べて密度の高いリッチな蒸留酒を抽出できるというメリットがある一方、非常にコストがかかるというデメリットも持ち合わせています。
また、地元フォーサイス社製のポットスチルは、1950年から使用してきた旧蒸留所と同型のスチルを新蒸留所でも採用し、サイズやアームの向きなど全てを踏襲しているとのこと。
新蒸留所にある24基のスチル全てにこだわりが詰まっていると思うと、マッカランのおいしさにも納得ですね!
ちなみに、マッカランの新蒸留所での年間生産量は1,500万ℓにまでなっています。
蒸留所ツアー
2018年に完成したマッカラン新蒸留所の目玉はやはりビジターセンターでしょう。
新蒸留所の建築デザインのコンセプトは、古代スコットランドの要塞「ブロッホ」です。
どことなく、雰囲気が似ていますね!
また、「蒸溜所の建築は、建設地の雄大な風景に溶け合っていなければならない」との考えのもと、50万トンの土を掘削したドーム型の屋根には5万トンのコンクリートと2,500個にも及ぶパーツが使われています。
エントランスの左側には、高さ18メートルのディスプレイで歴代840本ものボトルを展示したアーカイブが来場者を圧倒します。
来場者は、タブレットを操作することによって全てのボトルの詳細情報を見ることができるというから、まさに美術館・ミュージアムといったところですね。
ツアーは2時間30分とたっぷりの時間が取られており£50(8,000円程度)の値段に見合う内容となっています。
もちろん、ホスピタリティもすばらしく、コーヒーのサーブから始まりグループに1人のホストが付くという徹底ぶり。
ツアーの予約はこちらから。
イースターエルキーハウスのミニチュアから始まるツアーは、スチルや熟成樽の体験を経て最後のクライマックスで案内されるのがプライベートセラー。
ここは、壁に一般客が購入した原酒がシェリー樽に詰められてはめ込まれています。
ここまで演出されたら思わず買ってしまうかも・・・
そして、ツアーの最後に案内されるのが「ザ・マッカラン・エステート・バー」です。
このバーは、マッカランの象徴であるイースターエルキーハウスを見下ろしながらマッカランを味わうことができ、実に950種類以上のマッカランをグラス単位で購入可能!
なんと、70年前のマッカランを味わえるというから驚きです!
さすが、マッカランというべきホスピタリティ!
思い出に残ること間違いなしだね!
歴史
1820年 | アレクサンダー・リードが、シーフィールド伯爵からイースター・エルキー・ハウスを含む農場を借りる。 |
1824年 | ハイランドで2番目の認可蒸留所となりマッカラン蒸留所としスタートする。 この頃すでに、牛を売る牧童達によってマッカランの評判は広まっていた。 |
1892年 | ロデリック・ケンプが経営権を取得。 |
1914年 | 第1次世界大戦が勃発。 ウイスキー業界は苦難を強いられるが、ケンプの死後設立されたケンプ・トラストによってマッカランの精神は受け継がれる。 |
1939年 | 第2次世界大戦勃発。 様々な要因によりウイスキー業界を取り巻く情勢は悪化していきますが、マッカランは品質を維持しながら生き残りを模索していきます。 |
1961年 | イースター・エルキー・ハウスを含む全ての農場を購入する。 |
1968年 | 株式公開 ハイランド・ディスティラーズ、レミー・コアントロー、サントリーが株式を購入する |
1975年 | 前年に引き続きスチルの増強を行い21基となる。 生産能力は900万ℓとなる。 |
2018年 | 計画から6年、着工から3年半、総工費£1億4千万(約220億円)を要した大規模な設備投資が完成。 生産能力は1,500万ℓに増強される。 |
一緒に読んだ本
タイトル | 日本人というリスク |
著者 | 橘 玲 |
出版社 | 講談社 |
発売日 | 2013年3月19日 |
読書メモ
書いてあること
・借地借家法は借り手から見ればきわめて有利な法律
・リスク分散という視点から見れば特定の不動産(持ち家など)に高レバレッジをかけるのは危険
・生きるために富を獲得する方法
1.人的資本を投資し労賃を得る
2.金融資本を投資し利子配当を得る
・人的資本を会社に投資してサラリーマン債権を購入することは有利な取引だが、
サラリーマンでいることのリスクが顕在化
・世界株投資は個人にとって最強の投資法
持ち家と借家のリスクについての考え方を整理できる。
分散投資の重要性を再確認し、サラリーマンでいることへの投資とリスクについても再考できる。
自分の現在の環境を改めて見直すきっかけになる本。
わりとサクッと読めるので、難しいことを抜きにして読んでみるのがおススメ。
まとめ
マッカランはスコッチシングルモルトを代表するウイスキーです。
特徴は、フローラルな香りと濃厚な甘みにエレガントさがプラスされた正に「シングルモルトのロールスロイス」と称されるウイスキーです。
そのウイスキー造りには、蒸留所のこだわりと約200年続く伝統が息づいています。
「良いものを一番おいしい形でウイスキーファンに届けたい」という蒸留所の想いが感じられます。
エレガントでこだわりの詰まったマッカランをぜひ味わってみましょう!
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