ローランドは、かつてスコッチウイスキーのメッカとも呼ばれた地域でしたが、スペイサイドやアイラ島に押され、徐々に蒸留所の数を減らしていた地域です。
しかし近年、ローランドモルトの味わいが見直され、またウイスキーブームも相まって蒸留所の建設ラッシュが始まっています。
もちろん、安定的に供給できるようになるには、もう少し時間が必要ですが近年、大注目の地域です。
ローランドモルトの特徴を簡単に・・・
- ライトな酒質で口当たりがよく飲みやすい
- 都会的で洗練された味わい
- 麦本来の甘みや香りを楽しめる
- 新しい蒸留所が続々オープン
ローランドモルトは口当たりがよく飲みやすいことで有名です。
女性からの人気が高い地域ですね!
フローラルな香りや甘みが印象的でした!
たしかに、飲みやすい味わいです!
ローランドモルトの特徴
ロケーション
ローランドは、スコットランド中南部にあたる(上の地図上で薄い緑色部分)地域で、ハイランドと比較し多くが低地帯(Lowland)です。
肥沃な土地が広がっていることから、酪農・農業がさかんな土地でした。
また、首都エディンバラやグラスゴーなどの大都市があり、工業・商業も発展しておりハイランドと比べると都会的な地域です。
地理的には、上の地図にある区分がされていますがウイスキーの世界での区分は少し違ってきます。
ウイスキーの世界での境界線はいわゆる「ハイランド・ライン」が境界線となって、その南北でハイランド・ローランドとされることが一般的です。
ハイランド・ラインとは、西のクライド湾と東のテイ湾を結ぶ理論上のラインのことで、税金の制度が変わる境界でした。
当時、ハイランド地方に対してローランド地方は税金面で優遇されていました。
上の地図でいうと、ローランド地方の北東側はウイスキーの世界ではハイランドに属します。
東側はダンディーという街が境界線の目安になりますね。
歴史
ローランドで盛んに作られるようになったのは、18世紀ごろで1700年代後半から1800年初頭には20カ所以上の蒸留所が稼働していました。
1784年にいわゆる「ウォッシュ法」が成立し、この法律がローランドでのウイスキー造りを加速させる一因になりました。
ウォッシュ法とは、イングランド及びローランドを対象とした税制で、優遇措置でした。
当時、ウイスキー製造にかかる税金はスチルの容量に対して課税されていました。ですので、効率よくウイスキーを造ろうとして大きなスチルにすると多額の税金を支払う必要があった訳です。
しかし、ウォッシュ法はウォッシュの生産量、つまり出来上がった量に対してのみ課税するという法律。
作った分しか課税されないので、当たり前ですがハイランド地方で作るよりも断然有利になります。
この法律の境界線がハイランドラインと呼ばれるようになりました。
その後ローランドの蒸留所は100カ所を超えるまでになりましたが、1831年連続式蒸留器が発明されると徐々に手間のかかるモルトウイスキーから効率よく製造できるグレーンウイスキーへと変わっていきました。
そして、20世紀ウイスキー不遇の時代には、次々と蒸留所が閉鎖していき2000年にブラドノック蒸留所が再建されるまでは2つの蒸留所が残るのみでした。
1度は廃れたかに見えたローランドですが、近年はウイスキーブームの後押しもあり蒸留所の再建・建設が相次いでいる注目の地域です。
ローランドの蒸留所紹介
オーヘントッシャン蒸留所
1823年設立のオーヘントッシャン蒸留所は現在、日本のサントリーHD傘下の蒸留所です。
場所はスコットランド最大の都市グラスゴーの中心部から15㎞ほど。
クライド川のそばにあり、蒸留所の白壁がとても美しいですね!
オーヘントッシャン蒸留所は、ローランドの特徴のひとつでもある3回蒸留を行っている蒸留所です。
3回の蒸留が軽くてキレのある飲み口を生み出しています。
ビジターセンターやショップも充実しているので、グラスゴーからもアクセスしやすいですし是非立ち寄りたい蒸留所です!
ツアーは£15(2,500円程度)からありますが、おススメは£30のテイスティングツアーでしょう!
ツアーはこちらから。
グレンキンチー蒸留所
グレンキンチー蒸留所は、スコットランドの首都エディンバラから東へ25㎞ほどのイースト・ロージアンにある蒸留所です。
1825年に設立され、現在ではスコットランドで2番目に大きい30,963㍑を誇るウォッシュスチルを擁しています。
1988年には、UD社からリリースされたクラシックモルトシリーズにおいて「グレンキンチー10年」がローランドを代表する商品として選ばれています。
グレンキンチーの特徴は、フローラル・ハチミツの甘みと少しスパイシーでドライな口当たりです。
ビジターセンターやショップもディアジオ社の傘下というだけあって、充実しています。
蒸留所へはエディンバラからシャトルバスが£20(3,000円程度)で出ているので、訪問の際は利用してみるのもいいですね!
もちろん、テイスティング付きですよ!
シャトルバス、かわいい!
キングスバーンズ蒸留所
蒸留所があるキングスバーンズは、ゴルフの全英オープンで有名なセントアンドリュースの少し南の街です。
蒸留所ができたのは2014年。新進気鋭の蒸留所ですね!
モルトは、フロアモルティング採用しノンピートで乾燥させます。
生産量は年間20万リットル。熟成樽には基本的にケンタッキーのバーボン樽が使われます。
ビジターセンターには、ショップやカフェも併設しているので、充実した設備で過ごせると思います。
ツアーは£12(2,000円程度)から実施されています。
ツアーの予約はこちらから。
この蒸留所は、クラウドファンディング的なことを行っている「ファウンダーズクラブ」というものがあります。
設立1周年を記念して設立されたクラブは、£550(90,000円程度)で蒸留所を支援できるクラブです。
入会特典は、
ファウンダーズクラブメンバーシップを購入すると、ウェルカムパックと初リリースのシングルモルトウイスキー(ファウンダーズリザーブ2018)が、ファウンダーズリザーブ2019、2020、2021ボトリングとともに送信されます。あなたの最後のファウンダーズリザーブの瓶詰めは2022年にあなたに送られ、合計5本のボトルになります。
また、新しいリリースのプレビュー、蒸留所でのファウンダーズクラブイベントへの招待、無料ツアーへのアクセスも受け取ります。
ファウンダーズクラブ – キングスバーンズ蒸留所 (kingsbarnsdistillery.com)
とのことですので、興味のある方は入会を検討されてはいかがでしょうか。
レギュラーボトルのドリーム・トゥ・ドラムはファーストフィルにバーボン樽、セカンドフィルにワイン樽を使用したウイスキーで、ローランドらしくフローラルでフルーティーな味わいが楽しめます。
クライドサイド蒸留所
2017年11月開業、2021年10月15日最初のシングルモルトウイスキーをリリースした蒸留所です。
場所はグラスゴーの街のど真ん中。クライド川の真横です。
蒸留所は都会的でおしゃれな建物になっており、ガラス張りの中にポットスチルが見えるデザインがステキです!
ツアーは、£15(2,500円程度)からで、カフェやショップも併設されているので、グラスゴー観光に組み入れるのに最適ですね!
ツアーは、こちらから。
これからが期待される蒸留所です!
ブラドノック蒸留所
ブラドノック蒸留所はスコットランドで一番南にある蒸留所です。
歴史は古く、蒸留所が設立されたのは1817年。
どこか、ノスタルジックな雰囲気の蒸留所ですね。
ブラドノック川から引き込んだ仕込み水を使用し、現在は、年間150万リットルの生産量です。
オーナーチェンジを繰り返してきた蒸留所ですので、今後に期待ですね!
ツアーは、£14から実施されています。ショップやカフェも併設されているので滞在を楽しめるでしょう。
ツアーは、こちらから。
テイストはフローラルでさわやかなローランドの特徴を表したウイスキーです。
ラインナップは充実していますので、お気に入りの1本を見つけられると思います。
その他
現在、ローランドは新しい蒸留所や小規模の蒸留所が稼働しています。
まだ、生産量が少なく一般にリリースしていない蒸留所やビジターセンターがない蒸留所などがありますが、今後安定的に生産できるようになってくると、目にする機会も増えてくると思います。
楽しみですね!
紹介しきれなかった蒸留所・・・
- ダフトミル蒸留所 農場経営の蒸留所
- リンドーズアビー蒸留所 2017年、修道院跡地に建てられた蒸留所。ツアーも行っている。
- モリソン蒸留所 2017年に蒸留を開始した蒸留所
- グラスゴー蒸留所 グラスゴー1770をリリースしている蒸留所
まとめ
ローランドモルトは、フローラルな香りと麦本来の甘みを味わえるウイスキーです。
ノンピートのラインナップが多いので、ピート感が苦手な方にも飲みやすくおススメです。
BARなどで1日の最後に飲むとほっこりやさしい感じに包まれてリラックスした気分になれる、そんなウイスキーです。
今後、新しい蒸留所からリリースされるボトルにも大注目のローランドモルト。
1度飲んでみてはいかがでしょうか。
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