スモーキーで独特のピート香により「くせが強い」といわれるアイラモルト。
初心者には敷居が高いと思って敬遠していませんか?
たしかに、アイラモルトの特徴の1つは「くせの強さ」にありますが、実はノンピートのモデルがあるなど、その種類は豊富です。
アイラモルトの特徴を簡単に・・・
- 蒸留所ごとの個性が強い
- ピーティーでスモーキー
- アイラ島のピートの影響で磯の風味が強い
- ノンピートでフルーティーなモデルもある
ウイスキーの聖地と言われるアイラ島。
現在アイラ島には、8つの蒸留所といくつかの新興蒸留所が稼働しています。
8つの蒸留所を、ピートレベルを測る指標として用いられるフェノール値を参考にランキング形式でご紹介します。
まだアイラモルトを飲んだことがないという方や、くせが強いのは苦手・・・という方はランキングを参考に1度アイラモルトにチャレンジしてみて下さい。
新たな魅力を発見できますよ!
フェノール値ランキング
ブルックラディ | ノンピート | |
ブナハーブン | ほぼノンピート | |
ボウモア | ほどよいスモーキー感 | |
カリラ | ピーテッドモルトの入門 | |
ラガヴーリン | アイラの王 | |
ポートシャーロット | スモーキーでドライ | |
ラフロイグ | プリンスオブウェールズ | |
キルホーマン | 力強いピート・甘み・スパイシー | |
アードベッグ | 強烈で個性あふれるピート感 | |
オクトモア | 世界最強のフェノール値 |
アイラ島について
ロケーション
アイラ島はスコットランドの西側にあり、面積は日本の淡路島より少し大きいぐらいの島です。
気候は、暖流の影響で本島よりも温暖な日も多く、多くの野鳥の営巣地としても知られています。
また、アイラ島は手つかずの自然が多く残されており、スコットランドで最も美しい島とも言われています。
島の住人である約3,200人のほとんどが、ボウモア・ポートエレン・ポートシャーロットの集落に集中しているため、島のその他の土地は、平原・農地が大部分を占めています。
島の各地には豊かなピートを含む湿地帯が広がっており、ウイスキー造りに利用されています。
スコットランド本土のピートはヒース(ヘザー)という植物が多く含まれていますが、アイラ島のピートには海藻やコケが多く含まれているため、磯の香りが含まれ独特なピート香を生み出します。
蒸留所は、島の北東側にブナハーブンとカリラ。北西側には21世紀になってからできたキルホーマンとブルックラディがあります。
島のちょうど中央にはボウモア蒸留所があり、南海岸沿いにはラフロイグ・ラガヴーリン・アードベックが並んでいます。
本土からアイラ島に渡るアクセスは飛行機かフェリーですが、フェリーで訪れるのが一般的です。
飛行機の場合はグラスゴーから約45分で到着します。
フェリーの場合は、出発地は何カ所かありますが一般的なルートは本土のケナクレイグからの定期便です。
到着地は、近くに蒸留所が多いポートエレンがおススメですよ。
所要時間は2時間少々ですが、冬は欠航が多いので、天候が良く便数も多い夏場がいいでしょう。
歴史
アイラ島には紀元前8,000年の中石器時代から人が住み始め、以来1万年にわたって人が住んでいる歴史ある島です。
アイラ島最初の蒸留所は、1779年に誕生したボウモア蒸留所。
諸説ありますが、スコットランドで2番目に誕生した蒸留所です。
以降、ラフロイグ・アードベックが1815年、ラガヴーリンが1816年、カリラが1846年と続き最近では2005年6月にキルホーマン蒸留所がオープンし、2015年にはガートブレック蒸留所がオープンしています。
アードナホー蒸留所は2019年に開業し、蒸留したウイスキーを今まさに熟成しているところです。
リリースは2024年頃になる予定とのことです。
さらに、新しい蒸留所が南海岸周辺に建設中で、2024年オープン予定で進められています。
新しい蒸留所については、オープンの日が決まり次第、情報を更新していきますね。
新規の蒸留所。どんなウイスキーが作られるのか楽しみですね!
蒸留所の特徴
アイラ島にはウイスキーを量産している蒸留所が現在8カ所あります。
それぞれの蒸留所が個性豊かなウイスキーを作っていますが、今回は公表されているフェノール値順に蒸留所を紹介していきます。
フェノール値とは、スモーキーでピートの風味を出す成分であるフェノール性化合物の値をppmという単位で表したものです。
ただし、フェノール値を計測するのは大麦の状態のもので、完成品であるウイスキーの値ではないので、スモーキーさは個人の感覚によって違ってきます。
フェノール値は熟成後のウイスキー本体の値ではないので、フェノール値が高い=スモーキーではありません。
参考程度としてください。
ブルックラディ蒸留所
ブルックラディ蒸留所は、1881年に設立されましたが第二次世界大戦時の生産停止や、その後の買収騒動を経て1983年には工場閉鎖に追い込まれてしまいます。
その後2012年に生産が再開され現在は3種類のウイスキーをリリースするまでに成長しました。
ブルックラディ蒸留所の特徴は、3種類のウイスキーをリリースしていることにあります。
3種類ともに人気のあるウイスキーですが、フェノール値に大きな差があります。
ブルックラディ
フェノール値 0ppm
ブルックラディは、ノンピートのウイスキーです。
味わいは、フローラルでフルーティー。アイラモルトのイメージからは正反対のウイスキーです。
ボトルもエメラルドグリーンで、思わずジャケ買いしてしまいそうですね。
ポートシャーロット
フェノール値 40ppm
ポートシャーロットは、ブルックラディとは一転してスモーキーでドライな印象です。
その中でも、フローラルと磯っぽい香りを堪能できます。
オクトモア
フェノール値 130.8ppm
オクトモアのスタンダードモデルであるオクトモア12.1は130.8ppmの麦芽を使用し、5年間熟成後アルコール度数59.9度で瓶詰している、完全に振り切ってるウイスキーです。
あまりに煙たくて飲めないと思われるかもしれませんが、公式WEBサイトのテイスティングノートを見ると、スモーキーさもMAXですが、フローラル・フルーティー・柑橘系なども高い値を示しています。
さらに、塩味も含まれていますので、無限大の可能性を秘めたウイスキーなのかもしれません。
まだ、挑戦していないので、購入しだい情報を更新しますね!
ブルックラディ蒸留所のツアーは、£10(1,500円程度)から参加することができます。
3種類のウイスキーに興味がある方は、ぜひツアーに参加してみて下さい!
ツアーはこちらから。
ブナハーブン蒸留所
1881年に設立されたブナハーブン蒸留所は、アイラ島の中でもかなり辺鄙な場所に建っています。
建設当初、重要視されたのはピートの影響を受けない水が引けること、高品質のピートが近くで採取できることでした。
物資は海上輸送がメインだったため、桟橋があれば問題なかったのです。
2021年には新しいビジターセンターが完成し、コテージも改修工事が施されているようですが、2022年7月の時点ではCovid19の影響でツアーの規模が縮小しているため、詳細は不明です。
テイスティングや、熟成庫のツアーは行っており、£40(6,500円程度)からコースが選べるようになっています。
ツアーはこちらから。
ブナハーブン12年
フェノール値 3~5ppm
ブナハーブン蒸留所のコアレンジのラインナップは、ほぼノンピートのウイスキーです。
主にシェリー樽で熟成されており、フルーティーでドライフルーツの甘さが広がるウイスキーです。
かすかなスモークも味わえます。
限定品のラインナップでは、ピートを効かせたスモーキーなウイスキーもリリースしていますので、興味のある方は探してみて下さい。
ピーテッドのラインナップも入手次第、情報をアップしますね!
ボウモア蒸留所
ボウモア蒸留所は、1779年設立のアイラ島で最古の蒸留所でアイラ島の蒸留所の中では、唯一街中にある蒸留所です。
場所も、アイラ島の中心ですので、アイラ島を訪れた際はボウモアの街に宿泊される方が大半だと思います。
宿泊の際には、蒸留所併設のコテージもありますよ!
そんなボウモア蒸留所ですが、様々な理由からオーナーが変わり生産停止も経験しました。
1980年にはエリザベス女王が訪問されています。
2014年からはサントリー傘下のビームが所有しており2015年にはシングルモルトスコッチウイスキーとして初めてミズナラの樽で熟成させたモデルをリリースしています。
ビジターセンターも充実しており、ツアーは£18(3,000円程度)から参加できます。
ツアーはこちらから。
ボウモア12年
フェノール値 20~25ppm
アイラモルトの女王と呼ばれるボウモアの特徴は、ほどよいスモーキー感とレモンなどの柑橘系、ハチミツの甘さがバランスよくマッチした味わいにあります。
カリラ蒸留所
カリラ蒸留所は、1846年に設立されました。Caol Ilaの名前の由来はゲール語でCaol(海峡)、Ila(アイラ島)でアイラ海峡を意味しています。
地図を見てもジュラ島がほんの目と鼻の先。たしかに海峡です!
蒸留所は現在工事中とのことで、ビジターセンターも休業中ですので見学ツアーは開催されていません。
WEBサイトには2022年夏にオープン予定となっていますので、情報の更新をお待ちください。
カリラ蒸留所はポットスチルを6基有する蒸留所で、アイラ島最大の生産能力を誇っています。
改修工事が終われば、ディアジオだけに豪華な設備に生まれ変わってお披露目されると思います。
今から楽しみだね!
カリラ12年
フェノール値 30~35ppm
カリラ12年は、ピーテッドモルトの入口として最適な1本とされており、なめらかで軽めのボディ。
程よいスモークとフレッシュでフルーティーな香りがバランスよく味わえます。
ラガヴーリン蒸留所
ラガヴーリン蒸留所は1816年設立でアイラ島では、ボウモア・ラフロイグ・アードベックに次いで4番目の蒸留所です。
アイラ島の南、ポートエレン港から東に進んだ先にラフロイグ・ラガヴーリン・アードベックの順に建っています。
ラガヴーリン16年は、UD社のクラシックモルトシリーズに選ばれている銘柄で、ブレンデッドウイスキーのホワイトホースのキーモルトとして存在感があるウイスキーです。
蒸留所にはビジターセンターが整備されており、£17(3,000円程度)からツアーが設定されています。
美しい海岸沿いに建てられた蒸留所ですので、素晴らしい景色を見ながら食事とウイスキーを楽しめるでしょう!
ツアーはこちらから。
ラガヴーリン16年
フェノール値 34~38ppm
ラガヴーリンは、レギュラーボトルの熟成が16年と長く一時期原酒が枯渇する事態になっていました。
現在は、生産量こそラフロイグ・ボウモアに抜かれていますが、ある程度安定しています。
テイストは、豊かなフルボディでスモーキー、ヨード臭と磯の香に濃厚な甘みが加わり奥行きを出しています。
「アイラの王」にふさわしいテイストですね。
ラフロイグ蒸留所
ラフロイグ蒸留所は1815年設立の蒸留所で、1994年シングルモルトウイスキーとして初めて王室御用達許可証を下賜され、プリンス・オブ・ウェールズの称号が与えられました。
年間販売本数はアイラモルトNO1の380万本を記録しています。
ラフロイグの特徴は、スモーキーさとヨード臭と磯の香りを含んだ独特のピート香ですが、販売本数が示す通りその魅力にハマってしまう人が続出する銘酒です。
ビジターセンターも充実しており、£15(2,500円程度)からツアーに参加できます。
ツアーはこちらから。
ラフロイグ10年
フェノール値 45ppm
レギュラーボトルの10年は、フルボディでスモーキー、ヨード臭が特徴的。飲み進めると磯の香りとバニラの甘みが広がります。
キルホーマン蒸留所
キルホーマン蒸留所は、2005年にオープンした新興の蒸留所です。
蒸留所の特徴は100%アイラ。ウイスキー造りは、蒸留所を囲む大麦畑で毎年200tの大麦を収穫するところから始まります。
収穫した麦をフロアモルティングし、ピーティングと乾燥させます。
発酵は85時間かけゆっくり行い、熟成にはバーボンとシェリー樽を主に使い、ボトリングも蒸留所内で行うという徹底ぶりです。
ビジターセンターは2020年に完成し、ツアーは£10(1,500円程度)から参加できます。
ツアーはこちらから。
キルホーマン マキヤーベイ
フェノール値 50ppm
マキヤーベイは、バーボン樽とシェリー樽を8:2程度の割合でバッティングしたウイスキーで、力強いピート香とさわやかな柑橘系・バニラの甘さを感じます。
また、塩味やスパイシーさも併せ持つ、満足感の高いウイスキーです。
アードベッグ蒸留所
アードベッグ蒸留所は密造酒時代を経て、1815年正式に設立されました。
立地は、ポートエレンから東へ3マイル先で、ラフロイグ→ラガヴーリン→アードベッグと連なっています。
アードベッグの特徴は、ピートされた麦芽を使いバーボン樽で熟成され、海風の影響を受けたウイスキーです。
アードベッグのビジターセンターは、レストランやコテージも準備されており、とても充実しています。
ツアーは、£12(2,000円程度)から用意されており、ファンにはたまらない時間となることでしょう!
ツアーはこちらから。
コテージは、3ベッドルームで目の前が海という素晴らしいロケーションで、1泊£220(35,000円程度)から利用できます。
是非こちらから予約してみて下さい!
アードベッグ10年
フェノール値 55ppm
アードベッグはアイラを象徴する強烈なスモーキーで迎えてくれます。飲み進めていくとスパイシーさ、柑橘系のさわやかさ、フルーティーさも味わえます。
冷却ろ過をせずにいわゆるノンチルフィルタードでボトリングされているため、澱まで含めた本来の味をダイレクトに感じることができるのかもしれません。
ですので、先に紹介したブルックラディのオクトモアよりも強烈な個性を感じるウイスキーです。
その他の蒸留所
アードナッホー蒸留所
アードナッホー蒸留所は、2016年に設立され2018年最初の蒸留が行われ11月には、カスク№001が詰められています。
現在、熟成中で正式なリリースは少し先になりそうです。
ビジターセンターはオープンしているので、蒸留所の雰囲気は味わうことができますね。
ツアーはこちらから。
ポーティントゥアン蒸留所
ポーティントゥアン蒸留所は、2024年初頭にオープンし蒸留を開始する予定とのことです。
ニュースソースはこちら。
まとめ
アイラモルトは、たしかに「くせが強い」ウイスキーですが、同時に個性豊かとも言えます。
ウイスキー初心者の方は、どれを飲んでいいかわからない、となりがちです。
そんな時は、ピートレベルが4のボウモアや5のカリラを手にとってはいかがでしょうか?
ピート感がやや強いと感じればブナハーブン、物足りないと感じればラガヴーリンやラフロイグまで試しちゃいましょう!
あなたもピート香とヨード臭の「とりこ」になること間違いなしです!
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