アイラモルトと言ったらまず最初に思い浮かべるのは何でしょうか?
アイラモルトの王「ラフロイグ」や女王と称される「ボウモア」もすばらしいウイスキーですが、アイラモルトの巨人「ラガヴーリン」はご存じですか?
アイラ島の中でもボウモア・ラフロイグ・アードベックに次ぐ歴史がある蒸留所。
アイラモルト独特のヨード臭を感じつつ、重厚でオイリーな味わいは正に巨人!
そんなラガヴーリンの特徴を簡単に・・・
- アイラモルトの巨人
- 海を感じるピート香にヨード臭、オイリーで重厚な味わいでアイラモルトを存分に感じられる
- スタンダードボトルの16年はクラシックモルトシリーズの1本
- ブレンデッドウイスキー「ホワイトホース」のキーモルト
テイスティングメモ
テイスティングメモ
2023年2月 リカーマウンテン銀座 6,200円
ラガヴーリン8年
開封!と同時にふわっとアイラモルト独特の香りが!
スモーキー感がまさに巨人といった風格と期待感を漂わせます。
ストレートで飲んでみる
レモンの様な柑橘系の甘みと香りがスモーキー感とバランスよく口の中に広がる。
オイリーで重厚なうまみが広がり余韻が長い!
最後は甘いスモークがしっかり。
トゥワイスアップで飲んでみる
オイリー感は少し薄らぎますが、そのフルボディ感はしっかり。
スモーキーな香りと柑橘系の甘みはストレートの時よりも広がる感じ。
余韻も長く、鼻に抜ける香りもアイラの巨人といった感じ。
力強く、長く続きます。
1日の最後に力強さが欲しいときにおススメです!
ハイボールで飲んでみる
ハイボールにしてもしっかり残るスモークと柑橘系の甘み。
オイリー感は薄らぎ、すっきり感が味わえます。
しっかりしたハイボールを飲みたい時におススメ。
クラシックモルトシリーズ
ラガヴーリン蒸留所の主力ラインナップであるラガヴーリン16年は、クラシックモルトシリーズの1つです。
ラガヴーリン16年は近年流通量が少なく、初心者には手が出しにくいボトルですね。
まずは、入手しやすい8年でラガヴーリンの魅力を体感してみるのも良いでしょう。
私が初めて16年を飲んだのはウイスキーBARでした
ガツンとくるヘビーなテイストに圧倒されましたね!
クラッシックモルトシリーズとは、ユナイテッド・ディスティラーズ(UD社)が1988年に提唱したスコッチ・シングルモルトウイスキーのシリーズです。スコットランドの各地域のウイスキーが6本選ばれており、初心者でウイスキー選びに迷ったときは頼りになる存在です。
- ダルウィニー (ハイランド 内陸)
- オーバン (ハイランド 海沿い)
- グレンキンチー (ローランド)
- ラガヴーリン (アイラ島)
- クラガンモア (スペイサイド)
- タリスカー (アイランズ)
蒸留所について
ロケーション
蒸留所はアイラ島の南、ポートエレンの東1.8マイル(約3㎞)のところにあります。
ポートエレンからは順番にラフロイグ・ラガヴーリン・アードベッグと続いて、有名蒸留所が建ち並んでいます。
まさに、ウイスキーの聖地です!
外観はラフロイグ・アードベックと同じく、白塗りの壁に黒字でLAGAVULINの文字。
白い壁に赤い煙突が最高にカッコいいですね!また、青い海と蒸留所の白い壁は、まさにアイラの象徴です。
このあたり一帯は昔からウイスキー造りが盛んで、この土地で最初にウイスキーが蒸留されたのは1742年。
18世紀後半には10基の蒸留所が闇営業を行っていたそうです。
そして1816年、ボウモア・アードベック・ラフロイグに次いでアイラ島4番目の公認蒸留所としてオープンしました。
特徴
ラガヴーリンは言わずと知れたブレンデッドウイスキー「ホワイトホース」のキーモルト。
蒸留所建設当初からホワイトホースへモルトを提供してきましたが、現在でも変わらずキーモルトとしての地位を築いています。
水
仕込み水はラガヴーリンの特徴の一つとなっており、泥炭層を通ってきた水はピートを多く含んでいます。
ラフロイグもアードベックも目と鼻の先にある蒸留所ですが、仕込み水の違いもあり、それぞれに特徴的なウイスキーが完成します。
ある時、ラガヴーリンのオーナーであるピーター・マッキー氏がラフロイグを完全再現して売り出そうと敷地内にラフロイグと全く同じ形状のポットスチルを作り、職人を引き抜いてウイスキー造りを始めました。
しかし、結局はラフロイグと同じ味にはならず構想は失敗に終わるのですが、レシピや製法を同じにしても仕込み水や作られる場所・風向き・潮の満ち引きなどによって個性が表れるシングルモルト。
奥が深く、神秘的ですよね!
麦芽
1974年にフロアモルティングを終了しているラガヴーリンは、現在ポートエレン精麦所のモルトを使用しています。
ポートエレン精麦所は、元々蒸留所として稼働していましたが、UD社が買取った後、精麦のみを行う精麦所として自社の蒸留所だけでなくアイラ島全土へ麦芽を供給しています。
最近では、蒸留所復活の話題も出てきていて、今後の動向が注目されていますね!
新しい蒸留所が増えるの、楽しみ~!!
フェノール値は34~38ppmのものを使用。ヘビーピートに仕上がってますね!
この麦芽を1回約4トン使用し、ステンレス製のマッシュタンで21,000リットルの麦汁を生産します。
発酵~蒸留~熟成
その後、カラマツ製のウォッシュバックで55時間発酵。
ポットスチルは初溜器・再溜器がそれぞれ2器ずつ。玉ねぎ型のスチルで初溜が5時間、再溜が10時間の時間をかけます。
一般的な蒸留時間より長めですが、この時間がラガブーリンの力強くスモーキーでリッチな個性を引き出していると言われています。
熟成樽はバーボン樽とシェリー樽を使用。
バーボン樽はアメリカンオーク、シェリー樽はヨーロピアンオークを使用しています。
年間生産量は約250万リットル。ボトルでは190万本を出荷しています。
アイラ島ではラフロイグ・ボウモアに次ぐ出荷量第3位ですね。
ツアー
ツアーはスタンダードコースで£22(約3,800円)、もちろんテイスティングもあります。
熟成庫のツアーは£50(約8,500円)、最も高額なツアーが£105です。
ラガブーリンファンとしては、熟成庫のツアーは行ってみたいですが、ラフロイグやアードベックも行くとなると時間的にも体調的にも厳しいかもしれませんね。
そこはお財布と体調と時間を熟考して最適解を見つけてください!
ツアーの予約はこちらから。
歴史
1742年 | ジョン・ジョンストンが密造酒の製造をはじめる |
1816年 | 蒸留所のライセンスを取り正式に蒸留所としてオープン |
1867年 | ジェームズ・ローガン・マッキーが蒸留所を買い取りマッキー家が所有者となる |
1890年 | 蒸留所の原酒をブレンドした「ホワイトホース」が発売される |
1908年 | ホワイトホースがグランプリを受賞し、英国王室御用達となる モルトミル蒸留所を敷地内に建設 |
1927年 | DCL社(現ディアジオ社)に買収される |
1988年 | クラシックモルトシリーズが発表されアイラ島を代表するモルトして世界に紹介される |
1989年 | ウイスキー評論家マイケル・ジャクソン氏から「アイラの巨人」と評される |
まとめ
アイラの巨人と聞くと初心者にとっては遠い存在と思うかもしれませんが、リッチで芳醇な香りと味わいに虜になること間違いなしです。
ちょっとスモーキー感に不安があるという方は、是非トゥワイスアップで飲んでみて下さい。
少し加水するだけでも香りが広がり、余韻が心地よく残ります。一日の終わりに飲むと本当に幸せな気分になれますよ!
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